|  | ……誰だお前は | 
|  | あ、えっと、サウスって言うんだけど…… | 
|  | 『裏』か? | 
|  | 裏? | 
|  | なぜここにいる | 
|  | それは……多分、お兄さんと同じ事…… | 
|  | ……悪いが、オレは何があろうと止まる気はない。 | 
|  | 誰であろうと | 
|  | ぼ、僕だってそうだ!負けられない! | 
|  | ……後悔するなよ | 
|  | そ、そっちこそ! | 
|  | ……大丈夫か。 | 
|  | え……あ。うん… | 
|  | だから言っただろう。……死ぬかもしれないんだぞ | 
|  | ……わかってるよ、そんなこと | 
|  | ……オレはもう行く。一人で大丈夫か? | 
|  | あ…… | 
|  | あ、あの! | 
|  | …… | 
|  | あ、あの……ごめんなさい。 別に、喧嘩する気はなかったんだけど……その… | 
|  | 喧嘩……? | 
|  | ……ごめんなさい。 どうしても、どうしても確かめたいことがあったから…… でも、もう… | 
|  | ……それでいいのか? | 
|  | え? | 
|  | たとえ何日でも、何年でも 自分の『信念』が揺らがない限り続けた方がお前のためだと思うが。 | 
|  | でも……ここで負けちゃったし…… | 
|  | 負けたっていい。それは恥ずべきことじゃない。 | 
|  | ……! | 
|  | 負けてもいい。だが、死ぬな。 | 
|  | 待ちなさい! | 
|  | …… | 
|  | あなた、まさかこの事件を追ってるの? | 
|  | ……そうだ | 
|  | そう、じゃあ問答無用ね | 
|  | お前は、何だ | 
|  | 目標は違うけど、あなたと同じよ。 | 
|  | 力だけ求めるのか…… お前みたいな奴には、先には行かせない。 | 
|  | っく! | 
|  | もう、やめておけ。 | 
|  | くそぉ! | 
|  | お前は強い、だがその想いは揺らいでいる | 
|  | うるさい!うるさい!お前に何が! | 
|  | …… | 
|  | 父さんなら…… | 
|  | …… | 
|  | こんなんじゃ……父さんが誇りに思えない! | 
|  | 父親が、いるのか | 
|  | ……もう、いないわよ | 
|  | そうか…… オレも、両親はいない。12年前に殺された | 
|  | !! | 
|  | 親の言葉には耳を傾けていた。 だが、親にこうあって欲しいと望んだことはない | 
|  | …… | 
|  | 親は、そうあるべきだと思う。 ただ、いるだけでいいんだ。 | 
|  | …… | 
|  | お前の父親がどんな人物かは知らないが 認めてもらえて何か変わるのか? | 
|  | 何を…… | 
|  | いや、いい。オレが言えた義理じゃないな。すまない | 
|  | あなたは…… | 
|  | …… | 
|  | なぜ、行くの? | 
|  | 聞かない方がいい……どんな奴よりも最低な理由だ | 
|  | …… | 
|  | 随分と物騒なもの持ってるな | 
|  | お、分かるかい? | 
|  | この辺りの争いはないはずだ。何をしてる。 | 
|  | 西にね、干渉がかなり集中してる。そこへ行くんだよ | 
|  | …お前、何者だ | 
|  | 見ての通り、ただの一人間だよ | 
|  | ……嘘をつくな | 
|  | ありゃ、それもお見通しかい? | 
|  | 何者だ。 | 
|  | さぁてねぇ。 ただ、他のもんよりちょっとだけ利口なだけさ。 何も知らない兄さんよりはね。 | 
|  | ……何を知っている | 
|  | 兄さんには関係ないことだよ! | 
|  | く! | 
|  | 言え。何を知っている。 | 
|  | 何って、別に | 
|  | 言え! | 
|  | しつこいな兄さんも。 何も知らないって言ってるだろ! | 
|  | 
|  | な、何!? | 
|  | …くそっ!逃がしたか…… | 
|  | ……西 | 
|  | !!……誰だ!! | 
|  | …… | 
|  | 『裏』?……待て!! | 
|  | もう逃げ場はないぞ…… | 
|  | …… | 
|  | お前、『裏』だな。 | 
|  | …… | 
|  | 知ってること、すべて吐いてもらうぞ | 
|  | …知らない。わたしは何も知らない…… | 
|  | とぼけるな!! 『干渉』が起きないかぎりお前がここへ来ることはない! どこにある!どこから来た!! | 
|  | …… | 
|  | …自分の立場がわかってないみたいだな。 『裏』なら、オレは容赦しない。シラをきるなら吐かすまでだ。 | 
|  | いくぞ!! | 
|  | …うぅ | 
|  | 言え | 
|  | ……知ら……ない | 
|  | 何もしらないわけはないだろう! 貴様らがしでかしたこと……忘れたわけじゃないだろう!! | 
|  | ……何…… | 
|  | 悲しい…目…… | 
|  | !! | 
|  | ……何に……そんなに、しばられてるの? | 
|  | 黙れ……黙れ黙れ黙れ黙れ!!! | 
|  | 貴方、心が消えてる……心が、止まってる | 
|  | …!!貴様が、貴様が言えた義理か!! 俺の友人を!両親を殺した貴様らが! | 
|  | …… | 
|  | …くそ! | 
|  | ……!!隊長! | 
|  | てめぇか。 | 
|  | 何故、ここに? | 
|  | てめぇまさか 単なる志願者だけに任せてるとでも思ったのか? | 
|  | …… | 
|  | 何も変わっちゃいねぇな。馬鹿は馬鹿のままか! | 
|  | ……隊長、オレは | 
|  | うるせぇ!てめぇのことなんざ知るか。 邪魔するんだったら殺すまでだ | 
|  | !! | 
|  | この事件は『世界』が関わってんだ。 てめぇの感情でどうにかできるレベルじゃねえんだよ! | 
|  | それでも……オレは行きます! | 
|  | まだ分かってねぇのか!…この事件は『偶然』じゃねぇ。 12年前も。 | 
|  | なんですって!! | 
|  | やはり何も知らねぇな。 所詮テメェはゴミなんだよ。お前が出る舞台じゃねぇ | 
|  | ……なら、貴方から聞くまでです。 | 
|  | 舐めた口を聞くなぁ! | 
|  | 教えてください!何が……何があるんですか | 
|  | ……この世界は2つ存在するのは知ってるな | 
|  | エリメラと…ハーネッシュ | 
|  | そうだ。 どちらとも互いの『存在』を軸にバランスを取り、空間を生成している | 
|  | ええ。片方の『存在』が肥大化したとき 空間の軸が変動し『干渉』が発生する…と | 
|  | 馬鹿か!いいか、『存在』が揺らいでんだ。そんなことはあり得ない。 なら何故今も、そして12年前も存在が揺らいだのか ……それを考えてみやがれ | 
|  | ……それは…… | 
|  | 均整の取れた存在を、何者かが人為的に制御しようとしてる。 その全ての『空間の力』を利用し、2つの世界『均整』を 我が物にしようとしてる ……そういうことだ | 
|  | そんな…… | 
|  | もともと『空間』や『存在』なんてもんは均整が取れ、 初めて実化(じっか)するものだ。 | 
|  | それの元となる『軸』を、『柱』を制すれば…… 『運命』すら自ら変化させられる。 | 
|  | 誰が!一体誰がそんなことを! | 
|  | 『空間を司る者』……国が発表したものにもあった『奴』だ。 おそらく『奴』は2つの世界に存在する全ての『運命』の『軸』を 手中にするために動いたんだろう だからバランスがくずれ『干渉』が大量発生した | 
|  | 12年前も……そうだと言うんですか | 
|  | だろうな…… ふん、『FateAxis』か……皮肉な言葉だ | 
|  | そんな……じゃあなぜ12年も沈黙してたんですか | 
|  | あっちの都合なんざ知らねぇよ。 だが、また騒動を起こそうってんならぶっ潰すまでだ。 | 
|  | ……すいません | 
|  | 黙れ。……行け | 
|  | え? | 
|  | オレは行けねぇ。早く行け | 
|  | …… | 
|  | ……馬鹿野郎が | 
|  | ……止まりなさい。 | 
|  | 誰だ | 
|  | 『ガーディアン』 | 
|  | お前が……そうなのか | 
|  | 貴方もこの先に行くつもりね | 
|  | ……復讐? | 
|  | !! | 
|  | 駄目よ。分かるでしょう? | 
|  | その意思、歪みがあるわね。 貴方はもう知ってる。この先へは『辿れない』。『見えない』 | 
|  | ……退け | 
|  | 駄目よ。貴方のような人は必ず不幸になる。 その運命(さだめ)は変えられない | 
|  | オレはオレが信じることをしてるだけだ! 運命(さだめ)なんて信じるものか! | 
|  | …… | 
|  | お前が『司る者』だというのなら、お前自身が『目的』だ。 迷いはない。真実を知るだけだ。 | 
|  | それが貴方の不幸だと言うのよ。 | 
|  | それは、オレが決める! | 
|  | っく! | 
|  | さぁ答えろ!世界を『混乱』させる、『干渉』を起こす理由は何だ! | 
|  | はぁ……はぁ……はぁ…… | 
|  | ……お前ではないんだな。 | 
|  | …… | 
|  | 通してもらうぞ…… | 
|  | それで……いいの? | 
|  | うるさい | 
|  | 望まない事象で、貴方は満足できる? | 
|  | 知りたいだけだ……真実を。 | 
|  | ここは…… | 
|  | ……!! | 
|  | …… | 
|  | だ、誰だ、お前…… | 
|  | …… | 
|  | ここはどこだ | 
|  | はざま…軸…… | 
|  | 狭間……空間の狭間か! | 
|  | ……? | 
|  | ならば、お前が『空間を司る者』!! | 
|  | …… | 
|  | お前が!お前が『干渉』の原因か!! | 
|  | ……(こくん) | 
|  | お前のせいで……どれだけの人が死んだと思ってるんだ! | 
|  | ……… | 
|  | なんとか言え!! | 
|  | ……違う、違うよ…… | 
|  | 何? | 
|  | ……『ここに居ろ』っていうから……ずっと居たのに。 | 
|  | 何だと? | 
|  | ……『ここに居ろ』って言ったのに…… | 
|  | ……お前さえ居なければ…… お前さえ居なければ『干渉』は起きないんだ! 争いが存在しなくなるんだ!! | 
|  | ……… | 
|  | お前のせいで…… | 
|  | ……違うよ…… 悲しい……? | 
|  | 何?貴様…… | 
|  | わかってる……憎いの。 わたしが、貴方の親を殺した? | 
|  | !貴様あああぁぁぁぁぁあ!!!! | 
|  | ぅ……っく!うぅぅ…… | 
|  | 何故だ!何故『干渉』を引き起こした!!何故殺した!!! | 
|  | わたしじゃ……ない… | 
|  | とぼけるな!! | 
|  | …… | 
|  | ……本当に、知らないのか? | 
|  | ……(こくん) | 
|  | 馬鹿な!そんなことを信じろとでも言うのか! | 
|  | ……イレイシュが…… | 
|  | 何! | 
|  | 『ここ』を作って、『ここにいろ』って…… | 
|  | イレイシュ……そんな…… イレイシュは『国』の最高幹部だぞ! | 
|  | 『来る』って、言ったのに…… 『迎えに来る』って言ったのに…… | 
|  | ……お前…… | 
|  | 誰も……なんで誰も来てくれないの!? どうして?この子……死んじゃうよ…… | 
|  | まさか…… | 
|  | (もともと『空間』や『存在』なんてもんは均整が取れ、初めて実化(じっか)するものだ。 それの元となる『軸』を、『柱』を制すれば……『運命』すら自ら変化させられる) | 
|  | そんな……イレイシュ…… イレイシュが……『元凶』? | 
|  | ……おい、しっかりしろ | 
|  | ……っく……ううぅ | 
|  | おい!……くそ!! | 
|  | …… | 
|  | 悪かった……ここにいてはいけない。 運命(ここ)にしばられてはいけない | 
|  | …… | 
|  | キミには力がある。 それを使えば難なく『運命の輪』を手に入れれたはずだ。 | 
|  | だがそれをしなかった……12年も。 | 
|  | ……あ、りが……っつぅ! | 
|  | だ、大丈夫か? | 
|  | …… | 
|  | おい!!しっかりしろ!死ぬな……死ぬな!! | 
|  | ……うぅ… | 
|  | (絶対……この子だけは……) | 
|  | くそ!なんてことを…… | 
|  | ご……ごめん……な…さい……本当は……本当は…… こ……怖いよ……死にたく…ない…… | 
|  | !! | 
|  | (そうだ……俺は助ける!この子は助ける) | 
|  | あ……ああ、死なせない!死なせてなるか!! | 
|  | ごめん……な……さい | 
|  | 大丈夫だ。……生きるんだ! | 
|  | (絶対に!) |