|  | あ、あの…… | 
|  | ……誰だ、貴様 | 
|  | あ、えっと…サウ…… | 
|  | 『裏』か? | 
|  | え? | 
|  | なぜここにいる。 | 
|  | ……狭間に、行こうって思って……お兄さんも? | 
|  | ……悪いが、オレは何があろうと止まる気はない。誰であろうと | 
|  | ぼ、僕だってそうだ!負けられない! | 
|  | ……後悔するなよ | 
|  | そ、そっちこそ! | 
|  | っぐぁ! | 
|  | ……か、勝った!? | 
|  | ……くそ、こんな子供に…… | 
|  | あ、あの…それじゃあボク行くからね | 
|  | 待て!……何故だ? | 
|  | え? | 
|  | 裏なら容赦しない筈だ……お前、本当に何者だ? | 
|  | そ、それは……ボクも、わからない…… | 
|  | 何? | 
|  | 確かめるんだ。自分が何なのか……だから、負けられない | 
|  | …… | 
|  | そ、それじゃあね。それと、あの…ごめんなさい! | 
|  | おい!そこのヤツ待て! | 
|  | え?ボ、ボク? | 
|  | (こいつ……裏?) | 
|  | な、何? | 
|  | お前……何者だ。裏か? | 
|  | う、裏って何だよ!ボクはサウスって…… | 
|  | 違うな……だが死んでもらうぜ。命令なんでな | 
|  | え…え!?ちょっと! | 
|  | な、何なんだよ!いきなり! | 
|  | …くそっ! | 
|  | ボク何もしてないじゃないか!何で『死ね』なんて言うの!? | 
|  | …言っただろう?命令だよ。…あと、単なる好奇心ってやつだ | 
|  | もしかして……何か知ってるの?ボクのこと! | 
|  | …… | 
|  | や、やめてよ!そんな目で見ないでよ! ボクは……ボクは… | 
|  | 自分が知りたいのか……教えてやってもいいぜ。 さぁ、こっちに来るんだ | 
|  | ……い、いやだ…… お兄さん……こ、怖い… | 
|  | 早く来いって言ってんだろうが! | 
|  | っ!…… | 
|  | 
|  | ……ちっ…… | 
|  | (何なんだよ……何なんだよ!) | 
|  | あ…あの…… ちょっと聞きたいことが… | 
|  | な、何あんた!裏!? | 
|  | !!……ち、違うよ! | 
|  | じゃあ……何よ。 人間じゃないのは確かじゃない!! | 
|  | そ、それは…… | 
|  | もしかして……いえ、いいわ。 貴方、ひょっとして干渉と関係あるの? | 
|  | し、知らない……ボクも、その事調べてるんだから | 
|  | そう…じゃあ目的は同じね | 
|  | え?お姉さんも?そ、それじゃあ一緒に…… | 
|  | 悪いけど、誰とも組む気はないわ。 特にあんたみたいな格好のヤツとはね | 
|  | そんな…… | 
|  | 裏なら…容赦しないわ。 さぁ、貴方が裏でない証拠を見せて頂戴! | 
|  | ちょっ、ちょっと! | 
|  | うあぁ! | 
|  | はぁ…はぁ…はぁ…… | 
|  | …… | 
|  | 違うよ……ボク…裏とかいうのじゃないよ…… 分かってよ…… | 
|  | うるさいわね!じゃあ何だって言うのよ! | 
|  | わかんないよ!知ってる人なんかいなかったもん! こんな格好、したくてしてるわけじゃないよ! | 
|  | …… | 
|  | ……ボクだって…自分が何なのか……知りたいよ…… | 
|  | あなた…… | 
|  | ……もう、行くね。追ってこないでね…… | 
|  | …… | 
|  | ……誰!? さっきから!居るのはわかってるんだよ! | 
|  | …… | 
|  | ……え? | 
|  | 貴方……何? | 
|  | お姉さんこそ……だ、誰? | 
|  | 知らない……覚えてないの | 
|  | そ、そうなの? あの、でも、ひょっとしてボクの仲間? | 
|  | ……いえ、違うわ | 
|  | でも……でも、ほ、ほら。耳とか尻尾とか… | 
|  | …それ以上言わないで。貴方…何か危険だわ | 
|  | 危険? | 
|  | 自分でもわからないの。 でも、こうしなきゃいけない気がする…… | 
|  | え?ちょ、ちょっと待って! | 
|  | はぁ……はぁ……はぁ…… | 
|  | ぐ……うぅ… | 
|  | ……ご、ごめんなさい!大丈…… | 
|  | 寄るな!! | 
|  | え…… | 
|  | 貴方…何か危険と言った筈……離れて | 
|  | …な、なんでだよ…… なんでみんなして…ボクが何したって言うの!? | 
|  | わからない……けれど、来てはいけない…… | 
|  | ……ひどいよ、そんな…… そんなのってないよ! | 
|  | ……確かめるんだ。自分のこと…… それが答えでもあるんだから…… | 
|  | (……) | 
|  | ……? | 
|  | (……) | 
|  | 何…?この感覚……恐怖?…… | 
|  | おい!そこの! | 
|  | え? | 
|  | 何だお前…… | 
|  | あっ……え、えっと…… | 
|  | 裏か……いや、違うな | 
|  | !! | 
|  | さっさと散れ!ガキが来るとこじゃねえぞ! | 
|  | ガ、ガキって言うな! ボクは…ボクはこの先に用があるんだ! | 
|  | うるせえ。テメェみたいなガキに何ができる。 この事件の事、知らないわけじゃねぇだろう | 
|  | ……いやだ……絶対行くんだ! 確かめるんだ! | 
|  | ……なら、ここで止めてやる。 怪我じゃ済まねぇぞ | 
|  | こっちだって本気なんだ!負けるかぁ!! | 
|  | ぐぉ!……くそ…こんなヤツに…… | 
|  | ボクは……ボクは確かめたいだけなんだ! それだけなんだよ!邪魔しないでよ! | 
|  | うるせぇんだよ!誰だろうと知ったことか! …だいたいそれを知ってどうするってんだ。あぁ? | 
|  | そんなのボクの勝手じゃないか! | 
|  | この先にお前の答えがあるかどうかもわからんのだぞ。 お前、ただ漠然とした想いだけで行動してるんじゃねえのか? | 
|  | そ、そんなことは…… | 
|  | 違うと言えるのか?今のお前に!たかがガキのお前に! | 
|  | ……だ、だって…… | 
|  | …… | 
|  | ……こ、怖いんだよ…… 自分が……他と違うから…だから……だから知るんだ! | 
|  | 
|  | ……あがきやがって……あの馬鹿みてぇだ… | 
|  | こ、ここが…”狭間”?…… | 
|  | ……お前か… | 
|  | !!お、お姉さん、誰? | 
|  | とぼけるの?…… 全く、人間のやることは分からないわ | 
|  | どういうこと!?何か知ってるの?ボク…… | 
|  | イレイシュが送り込んだにしては不用心ね。 悪いけど、先へは行かせないわ。 | 
|  | 先……?この先があるの? ここって……狭間じゃないの? | 
|  | (………) | 
|  | !!…まただ…恐怖……何なの? 誰なの?この感じは…… | 
|  | どうやらあまり時間はなさそうね。 | 
|  | え?……え? | 
|  | 馬鹿な……そんな…… | 
|  | ね、ねぇ…いい加減教えてよ!ボクは何なの!? | 
|  | ……待て…これは……そうか、お前は殻… だから”狭間”は発動しなかったのね…… | 
|  | な、何?何の事言ってるの? ねぇ!何か知ってるんでしょ? | 
|  | ……”狭間”が呼んだの?何故…… | 
|  | (………) | 
|  | !!な、何!? | 
|  | ……まさか!有り得ない! ”狭間”から干渉するなんて! | 
|  | 何…これ……引っ張られる…… う、うわあああああ!!! | 
|  | ……ここは…… | 
|  | ……あ!! | 
|  | な。何!?君? | 
|  | 覚えてないの?……どうして? ずっと待っていたのに…… | 
|  | え?…… | 
|  | 助けに来たんじゃないの!?”狭間”が…… この子が死にかけてるから……だから来たんじゃないの!? | 
|  | ど、どういうこと? | 
|  | ……そんな……忘れたんじゃなくて…… ”ない”の?何も?なんで? | 
|  | ……何、言って…… | 
|  | (………) | 
|  | !! | 
|  | え?……嘘…… | 
|  | (………) | 
|  | なんで!?わたしは……君を助けたいんだよ? なんで? | 
|  | (………) | 
|  | な、何なの、この感覚…… ずっとつきまとって…… | 
|  | ……酷いよ……わたしだって消えたくないのに…… | 
|  | (………) | 
|  | 嫌だ…… なんで!?なんで来たの!?お姉ちゃん!! | 
|  | ……え? | 
|  | もう嫌なのに……嫌なのに!!! | 
|  | ……… | 
|  | う……うぅ……… | 
|  | ……ごめん…でも…… ボクも、”消えたくない”…… | 
|  | (”消えたくない”? 何言ってるんだろう…ボク……) | 
|  | そ……そうだよね… お姉ちゃんは…”存在”だもんね…… | 
|  | どういうこと? | 
|  | わたしは…”想い”…お姉ちゃんは”存在”…… もともと、一つだったんだよ… | 
|  | え? | 
|  | イレイシュが…お姉ちゃんを引き離したの…… イレイシュ自身は気づいてない……けど…… | 
|  | ……ボクと…君が、一つ? | 
|  | あの子……”狭間”は……もう死にかけてるの…… 助けたくて、ずっと一緒にいたんだけど…… ちがったみたい…… | 
|  | ちょ、ちょっと、何言ってるの?分かるように言って! | 
|  | ……イレイシュがね……来るって言ってたの…… でも、来なかった…… | 
|  | ずっと不思議だったんだけど……やっとわかったよ | 
|  | わたし……捨てられちゃったんだね。 お姉ちゃんがいなかったから、”不完全”って思われちゃったんだろうね…… だから、この子もわたしを拒絶した…… | 
|  | 待って、この子って……”狭間”って…生きてるの? | 
|  | うん…… この子を治そうとイレイシュが造ったんだよ。わたしたちを…… それも、知らないんだよね…… | 
|  | うん……でも、なんで? | 
|  | わからない…… イレイシュが、なんで”狭間”を治そうとしたか… なんでわたしたちを造ったのかもわからない…… けど、なんとなく…… 今なら分かる気がする…… | 
|  | …… | 
|  | バランスの崩れた”存在”を治すのは……”存在”でしかない…… だから…造られたんだと……思う… | 
|  | そんな…それじゃあ……生け贄みたいじゃないか! | 
|  | ……でも……もう…… | 
|  | !!ちょ、ちょっと!! | 
|  | 大丈夫だよ……お姉ちゃんは”消えない”から…… | 
|  | な、何だよそれ!君は消えちゃうの? | 
|  | ……ごめんね…… | 
|  | 待ってよ!まだ…まだ聞きたいことがあるんだよ! せっかくボクのこと知ってる人に会えたのに!! | 
|  | ……お姉ちゃんは……まだ……”殻”だもん…… 自分のこと、分からないのも……当然だよ…… | 
|  | 変なことばっかり言わないでよ! 何言ってるのかさっぱりわかんないだよ! | 
|  | …お願い、消えないでよ…… | 
|  | ……ごめんね……ごめんね…… | 
|  | ……… | 
|  | ……なんで、謝るんだよ…… | 
|  | 何も悪くないじゃないか!なんで謝るんだよ! | 
|  | ……イレイシュって人が……悪いんじゃないか…… | 
|  | ……… | 
|  | …確かめてやる……今度こそ。あの子のためにも…… |